第135回「話しても歌っても苦しくならない呼吸法」

まずは大原則の確認から。呼吸といえば、「鼻呼吸が基本」という原則を押さえておきましょう。口から吸う口呼吸のほうが息を吸いやすそうに感じるかもしれませんが、パッと一瞬で吸おうとして「池の鯉」のようになると、浅い呼吸になって、かえって空気が入りにくくなります。鼻からのルートも口からのルートも開けたまま、横隔膜で引っ張る(引き下げる)ように吸うのが最適な吸い方です。

特に歌っているときに顕著に陥りやすいのが、「呼気をできるだけ節約しようとして、かえって苦しくなる症状」。声を押さえようとすると声が出なくなるのは、イタリアでは「trattenuto」(トラッテヌート。抑える)といわれ、よくない発声とされます。原因は「肺の中の空気が邪魔をして、新しい空気が入れない」ことで、横隔膜が自由に動かなくなってしまいます。吐く息を抑える方針はただ苦しくなるだけですので、「しっかり出して、たっぷり入れる」方針に切り替えていきましょう。

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